立ち止まる事もある、このリリック以外は。
配信日:2023/9/22
型番:BUF-025
フォーマット:配信/サブスクリプション
1_ヒップホップ Track by SHIBAO |
2_こんなもんじゃない Track by DJ6月 |
3_ホットコーヒー Track by DJ6月 |
4_PK Track by SHIBAO |
5_あれから夜通しツイッター Track by WAZGOGG |
6_早過ぎて遅過ぎた Track by DJ6月 |
7_超ベリーバッド Track by Koffy |
8_再生数が上がらない Track by SHIBAO |
9_どうせまた Track by 夜凪うつつ |
10_30までにダメだったら Track by ikipedia |
11_東北新幹線の先 feat.羅漢 Track by 夜凪うつつ |
12_金メッキ Track by 夜凪うつつ |
13_最悪を越えて Track by WAZGOGG |
Lyric&Rap by
狐火
Mastered&Mixed by Buts
Direction&Design by Butterfly Under Flaps
前作から半年ぶり通算25枚目のアルバムとなる今作は【常に逃げ道に置いたヒップホップ】と【ヒップホップからは逃げない覚悟】を中心に綴った13曲構成となっている。
客演を招いた『東北新幹線の先 feat.羅漢』、リリースのタイミングで過去のSNSとなってしまった『あれから夜通しツイッター(現X)』、自分にしか出来ない事を求め続けたタイトル曲の『金メッキ』など、あっという間に過ぎ去っていく2023年を詰め込んだ曲順になっている。
私事ではありますが、財布、運転免許証、保険証、クレジットカード、キャッシュカード、前歯を最近紛失しました。
自分自身に言ってやりたい。
「この最悪を越えて行け」と。
13_最悪を越えて
1度目は高校2年生 先輩が厳しくて部活が辛かった
教室にも居場所はないみたいだった
ただ逃げる場所も方法もなかった
毎日 この自転車の車輪の様に何も考えず坂道を上っていた
いつかこの生活に終わりが来るまでの我慢比べ
財布に現金はカツアゲされるから
コンビニで使えるプリペイドカードとテレフォンカード
ここで挫折してしまえば向こう人生50年
挫折してしまいそうな
ばあちゃんが作ってくれた弁当をひっくり返され
それでもこの口からは何も言葉が出ない
こんなにも辛い辛い日々を抜けていくのかと
これが全て終わればきっと天国じゃないかって
今の自分が地獄にいるように感じ
悔し涙で目を覚ます
誰しもが命を削っていることを
今日も今 今この瞬間も
「命を削ってライブしてるんだよ」
客席のオレも思った
「命を削ってライブを観に来た」
それは立場変わり
あの日の削った命の上にこのステージからの眺め
明けない夜 止まない雨
両膝ついて それでも
この最悪を越えていけ
2度目は大学1年生 辛かった高校を抜けた先の
自由が大き過ぎた
そこで何も出来ない自分が小さく感じた
理由の分からない焦燥感に蝕まれていた
何か始める事が出来たら天国かもしれない
自由以外に何もない地獄にいる気がした
もどかしい CDショップで何者でもない自分は
見えない努力の先にある成功を掴んだ同世代に嫉妬し
自分と向き合う時間が永遠に続いて行くのか
このままではだめな事以外何もわからなかった
ただ1つ同じ削る命なら手を伸ばせ
レトルトご飯に目玉焼きを乗っけて
初めて買ってもらった携帯電話
4和音の着信メロディに気持ちを乗せて
ラップを始めた
誰しもが命を削っていることを
今日も今 今この瞬間も
「命を削ってライブしてるんだよ」
客席のオレも思った
「命を削ってライブを観に来た」
それは立場変わり
あの日の削った命の上に
このステージからの眺め
明けない夜 止まない雨
両膝ついて それでも
この最悪を越えていけ
3度目は社会人1年目
新卒で入社した会社がブラック企業
でも、あの時の自分にはあの会社が社会そのもので
社会に出るというのはとても辛いことだと思った
辞めようと思ったけれど、
新卒のブランドが中途に変わるとか
せめて3年は働かないと履歴書の汚点だとか
あることないこと言われここも地獄か
好きな事を仕事に出来たら天国かもしれない
今までと違いここからは終わりを自分で選べる分
そのタイミングが分からずに
1度決めたら向こう40年の人生が左右されるみたいな
でも、このままだと向こう40年ずっとこのままじゃないかと
何となくあんなに嫌いだった高校の先輩に相談してみた
やっぱり相変わらず最悪だった
社宅でレコーディングしてみた翌日、
会社の人事総務部に苦情で呼び出された
翌月、社会に背を向け東京に上京した
あの日の削った命の上に
このステージからの眺め
ここは何度も最悪を越えた
両膝をついても今は前を見る
この最悪を越えるものはない
自分以外には
01_ヒップホップ
夜露に濡れコンビニの明かりの下
久しぶりにワンダのモーニングショット
朝でもないけど 朝が来る気がして
学生の頃に良く飲んでた缶コーヒー銘柄
ひとときを思い出と安堵に咳払い
駅向かいショッピングモールのシャッターを背に
0時、手に マイク 横 アンプスピーカー
路上 ライブ 水たまり反射するネオンは
さながら地上のミラーボール
透明のビニール傘ほど視界は良好
スニーカーの踵 染みてくる雨水
でも、それくらいがちょうどいい
時経ち セーブするアルコール
セーブされるアンコール
ライブ前は500ml6缶まで それでがんばれ
今日も逃げる事ばっかり考えてるよ
落ち込んだ会社帰り 山手線
外耳炎になるほど耳の奥に突っ込んだイヤフォン
彼女にフラれた後 スクランブル交差点
中耳炎になるほど耳の奥に突っ込んだイヤフォン
昨日を逃げて、今日も逃げぬき、明日まで逃げ切って
今ここにいる
オレのヒップホップは逃げ道
でも、このヒップホップからは逃げずに
尻尾を巻いても舌は巻かずに 進む王道
来た時より帰りは軽くする
平均狙いの置きに行くライブじゃない
気持ちも含め全て置いて来るライブ会場に
出来れば物販のCDなんかも
それで今日の会社の午後休分の給料を補てんする
夢も希望もない でも、未来を描いて補てんする
汚点のない履歴書ほど白く濁る
十人十色でも終始顔色疑う様にエゴサーチ
誰の色も気にせず 何てのは贅沢
自分に無いものを持っている人を見たら
正直、羨ましい
ただ他人の歩いた道は歩きたくない
それが逃げ道だったとしても
会社の始業時間 その頃テレビでは
ラヴィット!で歌うMOROHA
現実から逃げる様にテレワーク
リモート朝礼のため 耳の奥に突っ込んだイヤフォン
その先にも現実は待ってるから
勝ち負けじゃないと思える所まで
行ったとしても オレは勝ちにこだわるよ
昨日を逃げて、今日も逃げぬき、
明日まで逃げ切って
今ここにいる
オレのヒップホップは逃げ道
でも、このヒップホップからは逃げずに
飛べない事を知った蚕に
それでも飛ぶことを願う様な
今の自分にも飛ぶことを願っている
一握りの期待がある
アルバムリリースが22枚を越えても
「数打てば当たる」が実証出来ず
次の1枚にまた手を伸ばす
ここから逃げた時に自分には
何も残らないことを知っているから
02_こんなもんじゃない
こんな日に限って雨模様
透明の傘越しならいくらか
部屋に1人でいる様に
気持ちもリラックス出来るか
小学生の時に友達が出来ない自分を心配し
母親が近所に頭を下げながら
僕の友達作りをしてくれたカーネーション
あの日の帰り道、「ごめんなさい」と言ったが
「こういう時は謝るよりも
何かワクワクするような事を言える様になりなさい」
と、言われ
「自分はまだまだこんなもんじゃない」
と言った
母は笑いながら 「私もそう思う」と
今日、たくさんの方が関わってくれて作り上げた
たった1回きりのライブで歌詞が飛んだ
真っ先に喉元まで「ごめんなさい」という言葉が迫り
あの日と同じようにうつむいてしまった
でも、
「自分はまだまだこんなもんじゃない」
この場の空気をたった1人で全て飲み込んで
骨と皮だけになっても
「こんなもんじゃない」と言い続ける
この中で誰よりも最後までここに立って
もしそれが嘘になってしまった時の為に
「ごめんなさい」は飲み込んだ
代わり吐き出したのは自分を救ってくれた言葉たち
「オレはまだまだこんなもんじゃない」
口だけだと言われていたけれど
だいぶ先の未来を口にしていただけ
自分を証明するのは 今ここにある現実だけ だから
すぐに追いつく 世間的におじさんと呼ばれる様になっても
地団駄踏んでるなんて 時点で想像のさらに上を行ってる
未来も常に想像のさらにさらに上を行く
だから。「自分はまだまだこんなもんじゃない」 絶対に
挑戦をして得たものが 悔しさだったとしても
次も挑戦して行こう 何もしなければ
夢の中まで悔しさが追いかけてきて 夜中目が覚める事も
涙が流れるほど 悔しい思いをする事も
いつもより不味い缶ビールを飲む事もない
不細工な自分と向き合う事もない
でも、たった1つ悔しさを積み上げても
「自分はまだまだこんなもんじゃない」と
小学生の頃から思い続けて
自分が自分自身に一番期待をしてる
だから、オレこんなもんじゃないんですよ
今日の事を水に流せとは言いません
でも、この先の僕を観ずに判断はして欲しくない
オレのターニングポイントはいつも雨が降る
明日はきっと今日より地かたまってる
失敗に慣れてしまったなら
言葉の意味すら意味を持たない
上辺だけをなぞる様な日々だ
喉元を越えて熱さ増す
完璧を求めた不完全な断片
あの日の帰り道の約束
「自分はまだまだこんなもんじゃない」
今も心の底からそう思う
目の前の現実を飲み込み
尚も保つ平常心
幸も不幸も関係ない
目を閉じても 逃げずに明日は来る
今日までの人生を飲み込んだ
代わり吐き出したのは自分を救うための言葉たち
「オレはまだまだこんなもんじゃない」
何もしなかったのと
何かしようとして
出来なかったことの間は
雲泥でも 傍から見たら結果が一緒だ
ご存じの通り0から何かを生み出すのは
まぁまぁ出来る
ここはマイナスから何かを生み出す
目の前の現場だ
03_ホットコーヒー
近々、木星、金木犀の
深々、深まる、ビートの上
ジンジンかじかむ手に平に乗せる
早朝コンビニのホットコーヒー
この瞬間、季節の醍醐味で
この瞬間、手を振るアイスコーヒー
また次に手の平 涼ます半年後が恋しくなる
雨上がりの晴れた早朝に
出会う為に昨日を過ごした
タンスから出したトレーナー
防虫剤の香りが同居する
次に洗濯機回すまで取れない でも、それこの季節の等身大
中秋の名月も 名残惜しそうに昼に帰って行ったよ
近々、木星、金木犀の
深々、深まる、ビートの上
ジンジンかじかむ手の平に乗せる
早朝コンビニのホットコーヒー
この瞬間、季節の醍醐味で
この瞬間、手を振るアイスコーヒー
ずっしり 沈んでく
まーた、またまた 通り過ぎる
アンケートの結果テレワーク中に音楽聴いてる人が多かったから
会社のテレワーク用のイヤフォンでチェックするトラック
オレのヒップホップ
頬杖つき過ぎて左の輪郭に吹き出物
そりゃこっちもそっちも好きで出来てるわけじゃない
レジ横の肉まんが袖を引っ張り始めた今日この頃
「諸々、承知いたしました」の諸々に込めた四半世紀
落ち葉集めて焼き芋を焼いていく様な感じのルーティン
季節の変わり目が極端過ぎて
一度ホットコーヒーに慣れた口元は
もうアイスコーヒーに戻れない様に
名残惜しさを越えて次へ進むまた今日も
大丈夫ギャツビーのウェットティッシュが目に染みただけ
欲が多過ぎてやる気出ないなら尻叩け
「最近調子どう?」会話に困ったから聞いただけ
近々、木星、金木犀の
深々、深まる、ビートの上
ジンジンかじかむ手の平に乗せる
早朝コンビニのホットコーヒー
この瞬間、季節の醍醐味で
この瞬間、手を振るアイスコーヒー
ずっしり 沈んでく
まーた、またまた 通り過ぎる
近々、木星、金木犀の
深々、深まる、ビートの上
ジンジンかじかむ手の平に乗せる
早朝コンビニのホットコーヒー
この瞬間、季節の醍醐味で
この瞬間、手を振るアイスコーヒー
ずっしり 沈んでく
まーた、またまた 通り過ぎる
04_PK
小学生の頃にサッカーはやっていたけれど
ワールドカップを見るのはだいたい二戦目以降
一戦目が終わって初めてニュースとかでワールドカップが始まっていたことを知るから
一戦目が劇的な勝利だったりするとなおさら
それが原因かは定かではないけれど だいたいオレが初めて見る試合は二戦目で
なぜかだいたい負ける
そこで見るのを止めた三戦目はなぜかまた劇的な勝利
会社の話題に追いつくために必死にYOUTUBEでレギュラーメンバーの紹介動画をあさり
知った気になるのにそう時間はかからず
本当は見ていないドイツ、スペイン戦についても
次の日、仕事なのにちゃんと深夜開始30分前に
スタンバイしていたって言う
西暦も年号もカレンダーも曜日も
もう年末、もう金曜日、いや、もう月曜日、
明日から40代、明日から新年、何回目のワールドカップ、
いつの間にか選手より監督の方が年が近くなって
「運」という言葉が慰めに変わる前から
ペナルティエリア内へ蹴りだした
翌日、会社では「本田さんの解説がめちゃくちゃ良かったですね」とそれっぽいことを言って乗り越える
一喜一憂 手のひらを返し 十人十色 交差する渋谷スクランブル交差点
ハイタッチを飼いならした後に戻る日常は 下手に握手 ひと時だけは久しぶりにコロナを忘れ
夜のコンビニは賑わい カゴの中身は日本戦のお供を取り揃えて
補欠のポテトチップスまで充実のラインナップ
そのポテトチップスはベスト8次の日本戦で食べる予定だったはず
同点の先には延長があり その先にはPK
これで勝ったらKP(乾杯)と誓う深夜3時前のベッド上のiPadでABEMA
運の良し悪しだったら ここに来る前に置いて来た
オレだって実は何年も前からペナルティエリア内にはいるつもり
温度差で曇った窓 東北なら結露
プレッシャーとうまく付き合うことが出来ないと口元の吹き出物が言う
ここまで来て「運」なんかに左右されてたまるか
すべて含め「実力」が及ばなかったで終わる方が
努力報われ、自分と向き合える
西暦も年号もカレンダーも曜日も
もう年末、もう金曜日、いや、もう月曜日、
明日から40代、明日から新年、何回目のワールドカップ、
いつの間にか選手より監督の方が年が近くなって
「運」という言葉が慰めに変わっても
またペナルティエリアを見据える
05_あれから夜通しツイッター(X)
新宿駅の地下道ヒプノシスマイクの
観音坂独歩の等身大パネル
に挨拶してから出社 いいね53
あの瞬間が一番現実を実感する日常
初夢は一富士二鷹三茄子が
縁起いいと言われているけど
今年の初夢は上戸彩
途中何度も目を覚まして
何度か見た夢の中で
一番縁起が良さそうだったのが上戸彩
一富士には適わないにしても
鷹と茄子には適う気がした
一富士二彩三鷹茄子
なんて考えてるうちに
今年もあっという間サンタが来る街に
でも、ツイッターで
「初夢 上戸彩」で検索したら
意外とたくさんの方が
同じ夢見ててびっくりしちゃった
ドライアイにさす目薬
二度目の挑戦が30代なら40代はtake3
リツイート、ツイッター
縦に並んだ横向きの罵詈雑言
蔓延るの 万里長城 くらい長い
道の端通ろう
いつの間にか
タイムラインに夜通しいたあの子も
ツイッターからインスタグラムそしてTIKTOK
思い出を鮮度保ち真空でジップロック
首傾げてる間に
繰り返す日々に轍
広辞苑より分かりやすく言葉を
検索出来るのがツイッター
補足で他人のどうでもいいコメント付き
このいいねの数は来世で何かに生かされますように
積み重ねたリツイートが
あなたが今日も息をしている証拠だったり
吐いた唾にも涙と同じ空が映ったり
昨日の予定を台無しにした
あの水たまりにも同じ空は映り
初詣で合わせた手のひらが迷子になっても
その親指で何とも言えない運勢を映した
画像に62いいね
そのいいねの数が小吉を中吉にした
「意味のある言葉だけを探していた日々はまるで
栄養だけを考えた味のしないサプリメントみたいだ」
これは100いいね確信した親指の先
リツイート、ツイッター
縦に並んだ横向きの罵詈雑言
蔓延るの 万里長城 くらい長い
道の端通ろう
いつの間にか
タイムラインに夜通しいたあの子も
ツイッターから
インスタグラムそしてTIKTOK
思い出を鮮度保ち真空でジップロック
首傾げてる間に
繰り返す日々に轍
140文字以内で詩的な表現
時代が時代なら俳句や短歌の様な
ポジション確立できたはず
日記にすらなれない言葉の居場所
10年前の自分の心の中は 今の自分にとっての特別
文字にするほどでもない日常が
誰かにとっての特別になりうる
ミイラ取りがなるミイラ
あれから10年後の未来
リツイートが多すぎて自分のツイートが見つからない
探し物も結局は気付かなかっただけかもしれない
【BOTみたいに現実を過ごすのはロボットの1歩手前】
なんて、いつかの下書き保存で赤面
現実で人に何かを質問すること苦手だけど
ツイッターならわからないことを質問できた
でも、気付くと自問自答 1人きり let it be
リツイート、ツイッター
後に並んだ前向きの罵詈雑言
蔓延るの 万里長城 くらい長い
道の端通ろう いつの間にか
タイムラインに夜通しいたあの子も
ツイッターからインスタグラムそしてTIKTOK
思い出を鮮度保ち真空でジップロック
親指傾げてる間の
繰り返す日々に私
06_早過ぎて遅過ぎた
後回しにした金曜の夜からの洗い物を片付ける朝一で
中指第一関節まで浸した冷水 オンザ 土鍋の無洗米
何もないからこそ何にでもなる
与えられるよりも自分で掴み取る
スローモーションの様な毎日でも後半に差し掛かり
たまらず口にする1年はあっという間
銀行通帳と睨めっこ 利息じゃ腹の足しにもならない時代だ
税金とつまむ腹のぜい肉 沢庵が色付ける白米の贅沢
パッケージされたら退屈な日常も芸術になるらしい
見下して得た安堵よりも 見上げて得ることにした嫉妬
窒息しような質素な中で この口先だけに投じた全財産
無限を知るには早過ぎて 永遠を知るには遅過ぎた
底辺を知るには早過ぎて 天辺を知るには遅過ぎた
自分を知るには早過ぎて あなたを知るには遅過ぎた
夢を見るには早過ぎて 夢を追うには遅過ぎた
季節の去り際 ベランダの 残り香 追うだけの 日々がまた
進めたボールペン 埋めた空白 数字ばかりの家計簿よりは
いくらか 向き合える現実と 目を閉じても離さない誘惑は
何も映らないテレビ 砂嵐 その先に見出した自堕落な奇跡
カレンダーよりも追いかけるBPM
強がったはったりのイージーゲーム
目より信頼おくこの耳で
見えないものまで見ようとした意味深
これやって一体に何になれるの?
少なからず自分を見失わずにいれんの
ビフォーと比べる事でしかわからないアフター
くそほど向き合って来たはずなのに
無限を知るには早過ぎて 永遠を知るには遅過ぎた
底辺を知るには早過ぎて 天辺を知るには遅過ぎた
自分を知るには早過ぎて あなたを知るには遅過ぎた
夢を見るには早過ぎて 夢を追うには遅過ぎた
07_超ベリーバッド
1990年代、半ば過ぎの話
ここは祖父母の営む田舎町の小さな商店
巷で流行っていたのは「超ベリー・バッド(very bad)」を略した
チョベリバという言葉 何のことなのかよく分からない
ここじゃ一生関わることない言葉
「最近の若者は~」なんて常套句 使いこなし頭抱える祖父
あぁ、こういう時にチョベリバという言葉使うのかと納得
この田舎町でもチョベリバという言葉が
辞書の「た行」に追加され始め
学校の休憩時間に
皆がチョベリバという言葉で会話する
そもそも「超ベリー・バッド(very bad)」
という超長い言葉を再度短く略したわけだが
「最悪」と言った方が
全然意味も文字数も語呂もスムーズなわけで
でも、2022年もデジタルをあえてアナログで
表現する事がクールだったりするから
「超ベリー・グッド(very good)」だと思う
そんなある日、店に来たアイスクリームの業者さんが
今、東京で流行っている商品を持って来たと
祖父を何やら説得していた その商品名は
「チョベリバー」
チョコとストロベリーが層をなすバータイプのアイスクリーム
開いた口の塞がらない祖父の口に
「チョベリバー」
これが時代の最先端なのかと
田舎町の売上の上がらないこの商店が
ここから再起をかけるには
この「チョベリバー」に賭けるしかないかと
翌日から飛ぶように売れた
あっという間に在庫が無くなり
追加で大量発注 チョベリバドリーム
夕食の会話にもチョベリバが混ざり始めた
店に2台あったアイスクリーム用の冷凍庫が
チョベリバーで埋まって行き
やがて冷凍食品用の冷凍庫も
チョベリバーで埋まって行き
ここはもはや田舎町のチョベリバー専門店
今の自分があの日にタイムスリップ出来たら
写真撮ってSNSで超バズらせたのに
でも、そんな事しなくて売れ行きは良好
でも、大切な事を忘れていた
日本には四季がある
アイスクリームの一番売れる夏の後には
ゆっくりと冬が訪れる
しかもここは南国でもない極寒の東北
凍り付いた祖父の表情と
凍り付いたチョベリバーの包装紙
季節を忘れるほど夢中になれる事があるって素晴らしいと思う
そして、冬は永遠に続くことはないまた春が来る
冷凍庫の中で静かに雪解けを待つチョベリバーを
同じ様に雪解けを待つフキノトウと重ね合わせ
また来るはずの流行に心躍らせ
今日から毛布を1枚多くかける
しかし、流行というのは驚くほど流れが速く
春先にはあのチョベリバが死語として扱われる様になった
言葉も死ぬという事を初めて知った
在庫のチョベリバーをかじりながら祖父は考えた
もしかして、いつの時代も流行を持って来るのは女子高生で
その女子高生達がこの春に流行を置いて高校を卒業したのか
だとしたら、流行の賞味期限は【春から秋】
秋までに流行は食べ尽くしてください
好きで始めた事を好きなまま
続けて行けたら
好きな言葉を好きなまま
使い続けて行けたら
その過程は全て矛盾つらぬく
盾となりそして矛となる
真冬のアイスクリームは
流行り去っても溶けを知らず
超ベリーバッドも何周回って
クラシカルでプラチナム
あの時代を呼び起こす引き金となる
流行り言葉も
アイスクリームまで行けたら勝ちだ
ただ「超ベリー・バッド(very bad)」って
食べ物の名前としたら超最悪だね
人と同じように言葉も
本当に忘れ去られた時に死語になると思う
だけど、あの時代、この言葉を大勢の人が使い
心躍り、そして駆け抜けた事は
閉店の日まで冷凍庫の底に残った
チョベリバーが知ってる
08_再生数が上がらない
カメラのピントを背景に合わせ
被写体ぼやけ 胸やけを抑え
切ったシャッター 無加工な事は
いつか、その加工した今よりも価値を増す
めちゃくちゃ金が無いわけでもなく
めちゃくちゃ金があるわけでは勿論なく
そのどちらかをリリックに落とすのが
皆の気を引くヒップホップ
そこと比べたら至って平凡
一番人口密度でいえば多い
その分、金曜日の夜にオレの曲イヤフォンで聴いても
また連れ戻される現実
なら自分1人しかいないプールの真ん中
プカプカ浮かんでストローで飲むおしゃれなカクテル
なんて考え沈むユニットバス
こんな時言うパーティーナイトも
CD売り上げ
上がらない
ラッパーなら言うパーティーナイトも
再生数が
上がらない
こんな時言うパーティーナイトも
フォロワー数が
上がらない
ラッパーなら言うパーティーナイトも
プロックスが
上がらない
もう上がらない腕を上げる まるで
ポカリの缶開ける事出来ないくらい消耗した三井寿
缶ビールを気付くと開けてる
オレも いびつに光れ
右も左も分かって怖気づくなら
知らない方がいい
上も下も見えて真ん中にいるなら
むしろ、知らない方がいい
暇な時ほど 余計なことを考え
幸せな時ほど 余計なことで落ち込む
アルバムなら20枚を越えてから数えるのを止めた
でもいつかTHE FIRSTみたいに
ファーストアルバムが再び脚光を浴びる
その頃も 現役で続けてる (生き字引)
このリリックには追いけない Chat GPT
こんな時言うパーティーナイトも
CD売り上げ
上がらない
ラッパーなら言うパーティーナイトも
再生数が
上がらない
こんな時言うパーティーナイトも
フォロワー数が
上がらない
ラッパーなら言うパーティーナイトも
プロックスが
上がらない
代わりいない
それは誉め言葉じゃない
誰だって代わりなんていない
明日考える余裕 ないまま
排水溝めがけて全て吐いたな
09_どうせまた
真夏の缶ビールは残ったビールの量だけ缶が汗をかく
まだ残った何かがあるから
見逃したシーンがまたいつか巡って来るなんて
甘えで
遠くにいるほど目が合うのに
近付くほどに目は逸れていく
酒を飲まなければどうにかなる
酒を飲んだらどうにでもなる
Siriも聞き取れない呂律で
誰にも聴き取れない言葉で
ハイライトに色を付けるのは目頭から一線
炭酸の抜けたウィルキンソン
いつかギリギリで付いた嘘
ひとりつぶやく「クソったれ」
どうせまた曲にするんでしょ
呆れる声 風に揺れるカーテン
2年 3年
「どうせまた」で始まる言葉は
永遠に続きそうな一瞬だった
「どうせまた」で始まる言葉は
その先で明日まで連れて行った
「どうせまた」で始まる言葉は
擦り切れそうに重ねた日常だった
「どうせまた」で始まる言葉は
次の「どうせまた」を待っていた
わからないことをこの年から学ぼうとするのは
誰かのため
「無理だ」と言いながら
中学生の時に『たまごっち』のバッタもんの
『どらごっち』の子守をしていた 祖母みたいに
絶対に無理なんて事はないはずなのに
どうせまた酔っ払ってんでしょ
呆れる声 明日まで待って
2日 3日
「どうせまた」で始まる言葉は
永遠に続きそうな一瞬だった
「どうせまた」で始まる言葉は
その先で明日まで連れて行った
「どうせまた」で始まる言葉は
擦り切れそうに重ねた日常だった
「どうせまた」で終わったとしても
次の「どうせまた」を待っていた
ディズニープラスのウォーキングデッドも
シーズンが長すぎて最後まで観れず
冷凍食品減った冷凍庫には氷が層をなす
ソファーの下からいつかのポップコーン
忘れられない日が
色もなくカレンダーに訪れ
何でもなかった日に色を付けてくれた
立ち止まる
このリリック以外は
「どうせまた」で始まる言葉は
永遠に続きそうな一瞬だった
「どうせまた」で始まる言葉は
その先で明日まで連れて行ってくれた
「どうせまた」で始まる言葉は
擦り切れそうに重ねた日常だった
「どうせまた」ライブ入れたから
「どうせまた」酔って帰って来る
10_30までにダメだったら
流しっぱなしの映画も いつの間にか差し掛かるエンドロール
字幕追っていればいつか英語も マスター出来るかもなんて
二兎追うものは一兎も得ず 二足の草鞋で一生過ごす
絵に描いた様な終わり方 重ねてもズレる自分の在り方
30までにダメだったら
どこかで線引く手が震えてた
40までにダメだったら
どこかで線引く覚悟が消えていた
あとを濁して飛んで行った鳥
何もかも変わったいわき駅前
二兎追うものは一兎も得ず
なら、二足の草鞋で一兎を得る
『一体いつまで続けていたら ダメかどうかがわかりそう?』
そんな残酷な質問にさえ 笑って目の玉 横にそらす
傍から見たら 膝崩れ腹抱えた パスタ、インスタントみそ汁
空いた容器分だけ 腹の足しじゃない何かは満たされて欲しい
先輩から「今年も紅白ダメだったね(笑)」
でも、いつの間にか消えた(笑) その後に消えてく連絡すらも
かっこ悪い 1本になったマイクで一人相撲
きっといつもの 切り取り線越えた 見取り図の
いびつな白黒 ひと苦労
落ち込んだ翌朝 母親のLINE
40年経つのに 痛む帝王切開の傷跡
瘡蓋を頼りに 産まれた日よりきっと
今日、良い日である様に
30までにダメだったら
どこかで線引く手が震えてた
40までにダメだったら
どこかで線引く覚悟が消えていた
あとを濁して飛んで行った鳥
何もかも変わったいわき駅前
二兎追うものは一兎も得ず
なら、二足の草鞋で一兎を得る
きっと行ける 50までには
きっと行ける まだ途中だからな
何となくわかっていたつもり積もった
炭酸抜けたビールみたいな
未来が待っていたとしても
どうせいつかは死ぬなら
最後の一滴まで飲み干すでしょ
そして、おかわりもいただくでしょ 勿論
11_東北新幹線の先 feat.羅漢
手を貸してもらう 申し訳ないけれど 忙しいところ悪いけれど
切羽なんて詰まっても 何度でも飛べる
まるで、はやぶさのつばさ そして、こまち
どの道ここで勝負するしかないから
リーチが何度も通り過ぎる 回送のなすの見送る 上野駅
震える唇に缶ビール 初めてここで東北新幹線を降りた日の事を覚えている
不安を噛みしめて
それでも希望で塗りつぶしたっけ
一体、ここには行き先が何路線あるのか駅で迷子になってたら
この先が思いやられるな でも、退屈はしないかもね
夢破れた友人を見送ったのもここ
夢持って迎えたのもここ
だからいまだに上野に来ると思う事はある
のらりくらり駅構内を歩いて 上り下りなんて関係ないのに
上りにこだわった 20代前半
この東北新幹線の先を見に行くだけ
咲いては散るだけ 命の輝きを
最低な言葉が覆い囲む過去でも
眺めている車窓の空
同じように移りゆく 旅の途中で
人生が何か分かった気になって
ここで降りるのは早すぎじゃね?
手の中の切符 お前だけのWay
後悔も束ね 明日へ持ち合わせる
ぬるま湯じゃ指先ふやけるだけ
この線路より先まで手を伸ばすだけ
その時にふやけた手の平じゃ
かっこ悪いもんな
どうせふやけるなら
夢握った手の平の汗のせい
出せないままの実家宛の手紙 身近な人にほどペン先は迷い
その度にまだまだここが途中だと思う
何度季節通り過ぎても ここには飽きが来ない
あるのは 東北の冬越えた 春だけ
咲いては散るだけ 命の輝きを
最低な言葉が覆い囲む過去でも
眺めている車窓の空
同じように移りゆく 旅の途中で
人生が何か分かった気になって
ここで降りるのは早すぎじゃね?
手の中の切符 お前だけのWay
後悔も束ね 明日へ持ち合わせる
ほら震災翌年の凱旋ワンマンライブ
崩れ落ちそうなビルの中で崩れ落ちかけた膝
通り過ぎた平成も あの日の昭和の様な位置になり
オレもお前も あの日のおじさんみたいな位置になり
いつかは片道切符で生まれ故郷に帰る
強がって消えた弱音 木枯らし吹く福島の空で
目をつぶっていたら あっという間に
新白河を通り過ぎるやまびこみたいに
そんなに急いで どこに向かう でも、今なら分かる
止まった瞬間終わってしまうんじゃないかって
瞬きさえも足がすくみ 絶対に通用すると切った啖呵
まだあんたらも若かったけれど その決断に何一つ間違いは無かった
東北最南端から回答を求めた大東京
蓋開ければバイトの日々
こんなはずじゃなかった
それでも、あの日の東北新幹線の先を見たいだけ
ここに来れば何かが変わると
なりふり構わず 風を切った
気付けば「ここはどこ?」
後戻りも出来ず 引き攣る頬
デカい口叩いて 自分を鼓舞して
理想と現実 狭間で失くして
それでも 転がる 石もいつかダイヤ
自分自身が首振れる 正解を追う
咲いては散るだけ 命の輝きを
最低な言葉が覆い囲む過去でも
眺めている車窓の空
同じように移りゆく 旅の途中で
人生が何か分かった気になって
ここで降りるのは早すぎじゃね?
手の中の切符 お前だけのWay
後悔も束ね 明日へ持ち合わせる
12_金メッキ
自分より全て勝ってる様な人を見た時に
自分の代わりはいくらでもいると思った
でも、それでも、一握りというのは
そこからだと思う
そこから離さずに自分自身を握っている事だと思う
てっぺん見上げて 年甲斐もなく
まだここが途中だと 根拠のない自信でもいい
一握りというのは自分が自分にかける勝算(賞賛)
ここいるのは一握りかそれ以外
世知辛い でもそんな日々をいつか馬鹿笑い
BPMですら置き去りにする
金メッキ加工技術がいつか金より価値を増す
誰かが断った仕事の依頼が来た
提出期限は数日間
YES、NO悩んでる暇もない
また誰かの代役かよ くそったれ
第一希望以下のそれ以外
いつもそんな時にしか声がかからない くそったれ
悔しい気持ちでまた流行りを越える
第一希望を越える逸材が ここにいたことをまた証明する
正直、会社で働いている時に何度も思った
自分の代わりはいないって
だから、自分が会社を辞めたら
大変なことになるんじゃないかって
でも、何度も何度も辞めたけれど
何度も何度も代わりが現れる
そりゃ、総理大臣の代わりもいるくらいだから
いち会社員の代わりは無限にいる
それでも それでも 何か1つくらいは
自分にしか出来ない 誰も代わりのいないことを成し遂げたい
浮足立った 足を沈め 浴槽の栓を抜くタイミング
渦の中心 見つけて過ごした白昼
広辞苑の言葉でさえ全て使い切る事出来ないのに
誰かの思いをコピー&ペースト
メールの下書きで目についた媚は何度も蹴ると
自分に言い聞かす
窓の外は晴れてるのに
ウィンドウズは今日も言葉の雨あられ
膝まで浸かって描く虹みたいなリリックス
で身の程知り 自分で尻ぬぐう
正直、会社で働いている時に何度も思った
自分の代わりはいないって
だから、自分が会社を辞めたら大変なことになるんじゃないかって
でも、何度も何度も辞めたけれど
何度も何度も代わりが現れる
そりゃ、総理大臣の代わりもいるくらいだから
いち会社員の代わりは無限にいる
それでも それでも 何か1つくらいは
自分にしか出来ない 誰も代わりのいないことを成し遂げたい
帰省した地元のスーパーマーケットで
子供たちと買い物をする同級生とすれ違い
前回すれ違った時は確かまだ乳母車だったはず
その子供が聞いてくる「呂布カルマと知り合いなの?」
知ってるよって言うと「すげぇ!」って大はしゃぎ
一瞬、呂布カルマと代われたらと思った
一緒にスーパーに来た母親の
「バーベキューするから焼きそば取ってきて」という言葉で我にかえる
今、この瞬間、焼きそばを取りに行く自分の代わりはいない
これは自分にしか出来ない
もしかして焼きそばにイカを入れたら
美味しいかもしれないと思いカゴに入れると
母親から「イカは入れなくて大丈夫」と言われ
イカを元あった棚に戻しに行く途中にまた同級生の子供とすれ違い
「あっ呂布カルマの知り合いの人だ」と言われ
呂布カルマの知り合いの人の代わりもそこそこ無限にいると思った
いつか自分も地元のスーパーマーケットで
ラッパー名で呼ばれたい
落ち込んだ姿を見た母親は
「そんなにイカが食べたいならもう一度持って来なさい」と言う
だから、もう一度イカのあった棚に行ってイカを手に取ると
隣に同級生の子供がいて 今度は黙ってこっちを見ていた
その無言の時間に耐えられなくなって思わず
「呂布カルマに今度会ったら宜しく伝えておくね」と言った
自分が何者なのかは 自分しか知らない
正直、会社で働いている時に何度も思った
自分の代わりはいないって
だから、自分が会社を辞めたら大変なことになるんじゃないかって
でも、何度も何度も辞めたけれど
何度も何度も代わりが現れる
そりゃ、総理大臣の代わりもいるくらいだから
いち会社員の代わりは無限にいる
それでも
歴代の代わり中でも自分が一番だと
時に金より輝き放つ金メッキが
代わりのいない今日を照らしてくれる