何もない所から武器を作る方法35

最高の気分だった。

去年のサマソニ出演の事を含めれば夢以上の所まで来れた気がした。

余韻に浸かりながら、最高の夏が終わっていった。

 

涼しくなる頃に行きつけの新宿のダイニングバー『Life&Trip』で打ち上げをした。

 

 

夢が叶ったら、目標を失い燃え尽きてしまうのではないか。

そんな心配が少しあったが、実際はそんな事はなかった。

 

もしも僕が11年も歳月をかけずに夢を叶えていたら、一緒に喜んでくれる人も変わっていただろうし、もしかしたらそこで燃え尽きていたかもしれない。

 

昔はフックアップが羨ましかった。

二十歳そこそこで有名ラッパーにフックアップされてあっという間にメジャーデビューとか羨ましかった。

でも、10年かかってやっと見れる景色を一晩で見れてしまったら、そこには何があるのだろう。

もう一度、日常に目を向ける事が出来るのだろうか。

次は自分の足で一晩で辿り着いた場所を登る事が出来るのだろうか。

自分はもしかしたら無理だ。

だから、僕はフックアップされないんだろうけど。

 

自分のペースで周りを羨ましいなんて思わずに、その時々の景色を楽しみながら。

ここからの夢は、ずっと続ける『継続』とした。

 

そして、8枚目のアルバム『31才のリアル』に着手した。

 

 秋も深まる頃、流通会社にアルバムリリースの打ち合せに伺った。

 

「来年(2014年)の3月に31才のリアルというアルバムをリリースしたいです。」

 

担当者(以下、Jさん)

「おぉ!31才のリアル!もう31才!?」

 

 

今回のアルバムには新しい試みがあった。

それは別ジャンルのアーティストを客演に招くことだ。

 

1人目はデビューアルバムで僕が客演参加したdaokoちゃん。

そして、2人目は全く面識はなかったけれど大森靖子さん。

 

2人ともパワーがあるし、必ずいつか有名になると思った。

そして、どんな状況下におかれても音楽を続けて行く人達だと思った。

 

Jさん

「daokoと大森靖子、たまに名前は聞きますね。

新しい試み面白そうじゃないですか。

というか、アルバムのぺースが早いっすね!

この調子で行けばギネス記録の更新出来ますよ!

俺は車椅子になっても狐火さんの担当続けるんで90才のリアルまで頑張りましょうね!」