応募に必要なものを一式揃えて、願いを込めて『出れんの!?サマソニ!? 』の応募ボタンをクリックした。
3分後、『出れんの!?サマソニ!? 』の担当者の方から着信があった。
この担当者の方は昨年サマソニ出演が決まった際に電話で「サマソニ出れますよ!おめでとう!」と僕よりも高いテンションで喜びを伝えてくれて、アーティスト目線でも物事を見てくれる美人さんだ。
あの瞬間に実際僕の人生が変わったので、いわば『夢の配達人』という感じだ。
電話に出てみた。
担当者
「狐火。また応募したね?」
僕
「あわわわわ」
担当者
「ユニットというか、これはほとんど狐火だよね?」
僕
「あわわわわ」
担当者
「気持ちは痛いほどわかるよ。でも、これを通してしまうとルールに沿えなくなってしまうから、退いて欲しい。ずっと応援してるから。」
担当者さんが電話越しでもわかるほど、とても辛そうだった。
前述した通り、何だってそうかもしれないけれどアーティストの人生を左右する可能性のあるオーディションを主催するという事は、喜びが最終審査を通った一握りだとするとその他には個人差はあれど必ず悔しさがある。
喜びを電話越しで伝える仕事の裏にはたくさんの悔しさもある。
僕に電話で伝えるのもそれを知っているからこそ、とても辛く、そして悔しそうだった。
応募した時点でルールに沿えていないので連絡なしで応募を無効にする事は出来たはずなのに、わざわざ電話をくれて優しかった。
僕は身を退いた。
わずか、3分で『キツネクション』は無期限活動休止となった。
それでも、可能性に手を出す事は間違いではない。
この後も『出れんの!?サマソニ!? 』を主催しているイープラスの方々とは仲良くさせて頂いている。
この時のキツネクションの話も良く話題にあがる。
それを酒の肴にこの先何年でも何十年でも、また皆でお酒を飲めたら、それはそれで良いと思う。
キツネクションが残したもの。
僕には当初の想定よりも遥かに早く活動休止してしまったキツネクションが残したものの処理が残っていた。
大きく分けると下記の2つだ。
①サカナクションのファンの方々からのクレーム。
②大量に作ったキツネクションTシャツの在庫。
※キツネクションTシャツはこちらでも購入できます→https://www.ttrinity.jp/product/1852091#221
僕はこの後しばらくキツネクションTシャツとともに1人ライブを周る事となる。