リリースがひと段落した6月、僕はもっと自分を全国の多ジャンルにアピールする方法はないかと模索していた。
そして、出会ったのが国内最大規模のロックフェス『SUMMER SONIC』への出演を賭けたオーディション『出れんの!?サマソニ!? 』だった。
例え、出れなくても全国の多ジャンルの方々にアピールが出来る。
これだと思った。
僕はすぐに応募した。
同じジャンルでは何度か話した事があった不可思議/wonderboy(以下、ワンダーボーイ)がエントリーしていた。
一次審査は一般の方からの投票だった。
投票数の多い上位何組かが二次審査に進めるという仕組みだ。
僕は一般投票では皆さんのお蔭で常に上位にいた。
ワンダーボーイはぎりぎりのラインにいた。
そんなある日、LOW HIGH WHO?のParanelさんが僕の曲のMV(ミュージックビデオ)を撮りたいという事で代々木公園で2人で撮影をしていた。
梅雨の晴れ間が秋の様に高い空を演出していて空気の澄んだ気持ちの良い日だった。
Paranelさん
「そういや、ワンダーボーイが狐火君に直接話したい事あるって、呼んでいい?」
僕
「良いですよ!何ならMVに出てもらいましょうよ!」
その1年ほど前だったか僕が吉祥寺でライブのリハーサルをしているとZ.I.O-RAMA君に連れられてワンダーボーイがやって来た。
僕にデモCDを渡す為に来たと。
この後、用事があるのでライブは見れないと。
「絶対にやばいので聴いてくださいね!」
と言い残して去って行った。
時間は無いけど勇気があるんだねとその時は思った。
代々木公園で夜まで待ってもワンダーボーイが来なかった。
僕
「ワンダーボーイ、約束忘れてるんじゃないですか?」
Paranelさん
「いや、狐火君、あいつは必ず約束を守るやつだよ。」
その日は結局そのままワンダーボーイに会えずに帰宅した。
翌日、Paranelさんから連絡があり、ワンダーボーイが亡くなったと知らされた。